atelier kukka architects

大工の家具づくり×家具屋の家づくり展へ

先日、青山のライトボックススタジオで開催していた「大工の家具づくり×家具屋の家づくり展」（わざわ座＋小泉誠＋若葉家具）へ。

小泉さんが骨格を設計して大工さんが座面と背もたれの形と性能を考え製作した子供椅子の展示、工務店の仕事場をイメージしたブース感のあるオフィス空間の提案など、使い手の思いにデザイナーと大工と家具屋が互いに顔の見える関係で取り組むプロジェクトの展示会でした。

ツタの這う窓ガラスと無機質感のある室内空間で、木の温もりに沢山触れてきました。

頂いた冊子には減少する大工、若手育成の難しさなどが綴られていました。最近では鉋や鋸を使う大工さんが少ないとの事、KUKKAの現場で普通に目にする風景が当たり前ではないんですね。

私は現場が動いている時はほぼ毎日、現場監督さんとのやりとりがあり、そわそわした時間で緊張するのですが、いざ現場に行くと着く前から大工さんが作業する音が住宅地に響いていて、嬉しくなって足早に現場に向っています。職人さんの手仕事を見るのが好きなんですよね。

狛江S邸の現場の様子。狩野棟梁の大工道具はいつも整然と並べてありました。完成品だけでなく物づくりそのもののプロセスをより身近に感じられるところが家づくりの面白さかなと思います。

Life time

国立新美術館で開催されているクリスチャン・ボルタンスキー展へ。空間のアーティストならではのインスタレーションが本当に素晴らしかった。

学生時代に影響を受けた現代アートの一人ですが、ここまでの大回顧展は初。アートにしても読み物にしても死生観を軸にしたものに心動かされます。設計課題で扱われていたテーマだからその頃の仲間もきっと見に来ていると思う。

裏磐梯にあるホテリ・アアルトへ

昨年の春、福島県の裏磐梯にあるホテリ・アアルトへ行ってきました。

保養所を改修した小さなホテルですが設計は建築家の益子義弘さん。ちょうど建築資料研究社による講演会「安らぎの居場所を解くー私の仕方」に友人と参加した頃で、このホテルの設計についてもお話されていました。

写真は敷地内にある湖沼。足元は飛び石になっているので、ぐるっと散策できます。宿泊以外にもカメラを持った建築関係の見学者の姿もちらほら。

五色沼の近くなので水も澄んでいて眼下も綺麗でした。

私は「建築家の自邸」というと、益子さんの新座の家が思い浮かびます。

実家の清瀬に近い新座市にこんな素敵なところが本当にあるのかな・・と思い、よく図集を見ていました。

片流れ屋根が組み合わさった印象的な外観・温かみと緊張感が共存する室内、木々との共棲の手法に惹きつけられました。

実際に体感したホテリ・アアルトにはそんな素敵な場面が沢山散りばめられていて、季節を変え再訪したい場所です。

湖畔から帰ると見える南側外観。手前側は増築したレストラン棟。既存棟に直行して設けていながら、屋根勾配（４寸）や外装を合わせていて、前からそこにあった様なしつらえです。写真上の樹木はモミジ、時期は散り桜。今の時期は雪景色がきっと綺麗でしょう。

軒下からレストラン棟への眺め。楓薄板を貼ったオリジナルデザインのペンダントライトの存在感と緑の抜け感が綺麗。

雪の多い場所ながら深い軒のある造形に杉板押縁の外装はとても似合っていました。つづく。

フィンランド陶芸展へ

目黒区美術館で開催中のフィンランド陶芸ー芸術家たちのユートピアへ。1950年代、60年代までのアラビア製陶所の作家による陶器作品が並びます。今でも人気のあるカイピアイネンの作品が特に素晴らしかったですが、あの時代であって女性の芸術家が多いのも興味深く、それが今のフィンランドの豊かさにつながっている気がしました。

（写真はルートブリュックの陶板のレプリカ、本物はもっと美しかった）

暑い日に涼しい美術館を巡るのもいいです。お盆の都内の美術館は比較的空いていますよね、酷暑の夏ですがお気をつけください。

上野玄起さんのアイアンワーク展へ

登戸Y邸の照明や表札をお願いした八ヶ岳在住の鉄の造形作家、上野玄起さんのアイアンワーク展へ行ってきました。
東大宮にある古い納屋を改装した、カフェとアートスペースの温々さん。大谷石の床と土壁の内装で鉄の存在感がより浮き上がってとても素敵なスペースでした。登戸Y邸の照明の記事は上野さんのブログのこちらとこちらへ。

ルーシー・リー展＠郡山市立美術館

「ルーシー・リー展」を見に、郡山市立美術館へ。
大好きな陶芸家の初期から晩年まで200点の作品を目に焼き付けてきました。両手で抱えられる大きさの日用品中心の陶磁器は、女性らしいとても繊細なもの。深みがあり、宝石みたいなアースカラーの色味が美しかったです。

「陶器の形態やデザインはあまり変化のないものだ。しかし、陶器を愛する人にとっては尽きることのない感動である。それは衝撃的なものでなく、ただ静謐で偉大である」こんな気持ちを言葉にできる凜とした生き様も素敵でした。

オスカー・ニーマイヤー展

東京都現代美術館で開催中の「オスカー・ニーマイヤー展　ブラジルの世界建築をつくった男」へ。かなり興味深い建築の数々で面白いです。10/12（月）最終日です。

絵の住処 －作品が暮らす11の部屋ー マーク・ロスコ

マーク・ロスコのシーグラム壁画を見に、DIC川村記念美術館へ行ってきました。

赤茶色の壁画7点が、変形７角形の展示室に配置されており作品全体と場を一緒に味わう、インスタレーションとしての印象が強いです。作品に包まれながら、薄暗い照明効果もあり、ロスコの奥深い色を身近に感じられました。個人的にとてもオススメの展示空間です。（写真はDIC川村記念美術館のHPから）
そして「無用の人」（原田マハ著）がロスコと繋がっていきます。読書の秋。

練馬区立牧野記念庭園

KUKKAの事務所から歩いてすぐの所にある内藤さんの牧野記念庭園。幅60のヒノキ小幅板の外壁が美しいです。
この小幅の上品さ・大人っぽさが以前からとても好きなこともあり、石神井U邸はレッドシダーでW75の小幅板、節なしでご提案。これより色は濃いけど、シンボツリーの影がうっすら映ると綺麗だなと思う。

法隆寺 廻廊へ

一日かけてゆっくり参拝した法隆寺、廻廊の様子。エンタシスの柱は大工用語で「胴張り」と言われるそうですが、この柱を見ただけでこの廻廊が飛鳥時代に建てられたものだと言えるそうです。
ガイドさんの手持ち資料の当時の鳥瞰図。（黄色マーカーが飛鳥時代建立）今では講堂も廻廊で繋がっていますが、当時は廻廊の中は神聖な場所という意味合いで五重塔と金堂のみ。法隆寺の講堂は平安時代に建てられたものなので、この廻廊も途中から平安時代のものに繋がっているんです。

それを見分けるのは上部の梁の形と棟木を支える束の有無。
これが飛鳥時代に建てられた廻廊。梁が虹のように少し弓なりに曲がっている「虹梁」、そして束がありません。
平安時代に建てられた廻廊。梁は飛鳥時代の梁より大きく、束もあります。
こうやってはなれて見ると、どちらがより軽快で美しいのかわかります。

飛鳥時代の木造建築はここでしか見られないので、柱に触れながらこの廻廊を歩くだけでいいものです。釈迦三尊像（飛鳥時代・金堂内）と薬師如来（平安時代・講堂内）のお顔を比較するのも時代背景が介間見れて興味深いです。